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退職勧奨とは?進め方や留意点を社労士が解説!

はじめに


会社経営を続けていく中で、「勤務態度が悪く、指導しても改善しない。」「配置転換を行っても大きなミスが続いて困っている。」など、従業員との関係に悩む場面があります。その際、「解雇」ではなく話し合いによって自主的な退職を促す方法が「退職勧奨」です。
誤解されがちですが、退職勧奨は“違法な行為”ではなく、適切に行えばトラブルを避けながら双方にとって前向きな選択肢となり得ます。

本記事では、足立区の社労士 大越事務所の大越が、退職勧奨の基本と手順、注意点を解説します。

退職勧奨とは?


退職勧奨とは、会社が従業員に対して退職を勧めることを言います。あくまで従業員の同意が前提であり、強制力はありません。解雇の場合、従業員の同意は必要なく、企業側が一方的に雇用契約を終了させます。
ここが、解雇との大きな違いです。

解雇ではなく退職勧奨を行った方が良い理由


退職勧奨を行う際は、次のような手順で進めます。

①事前の事実整理
成績、指導記録、配置転換の経緯など、会社としてどのような指導・改善支援を行ってきたかを整理します。根拠が曖昧なまま勧奨を行うと、“不当な圧力”と捉えられる可能性があります。

②面談の実施
面談は1対1ではなく、上司と人事担当者の2名程度で行うのが基本です。会社側の面談実施者が多すぎても、従業員に対して威圧的であると捉えられることがあるため、多くても3名が良いかと思われます。
「現状では会社として期待に応える働きが見込めない」といった具体的な事実を丁寧に説明します。
従業員に対して、誹謗中傷、脅迫などと捉えられるような発言は、違法となる場合があります。

③選択肢の提示と検討期間の付与
退職の強要はNGです。退職という選択肢を提示し、その場で結論が出ないようであれば、検討期間を設けます。

④合意内容の書面化
退職に合意した場合、退職日・引継ぎ内容などを記載した合意書を作成し、会社・従業員間で締結します。後日「不当に解雇された」と主張されるリスクがありますので、トラブル防止に不可欠です。

退職勧奨の主な留意点


退職勧奨で最も多いトラブルは「退職強要」です。長時間にわたる面談、繰り返しの呼び出し、退職を断った後の不利益取り扱いなどは、違法と判断されるリスクがあります。また、病気療養中の従業員や育児休業中の従業員への勧奨は特に慎重な判断が必要です。

まとめ


退職勧奨は、適切な手順を踏むことで、不要な紛争を避け、円満な合意につなげることができますが、注意しなければならないことも多くあります。必要に応じて社会保険労務士など専門家の助言を受けながら、慎重かつ丁寧に対応することが大切です。